農園について

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農園について

島バナナの定義とブランドを作る農園

「島」が付く特産物の宿命

「島」がつくものは沖縄の人にとって誇りに思う沖縄の特産である証。
「島らっきょう」「島にんじん」「島とうがらし」などなど・・・。
観光客にも喜ばれます。
そのためか、似た形状・サイズの別のバナナ(モンキーバナナやアップルバナナであろうと思われるバナナ)を「島バナナ」というラベルで販売している光景も見受けられます。

そのように、本当に島バナナかどうかわからない島バナナが出回っていることは、私たちが考える「『美味しい島バナナ』となかなか出会えない理由」のうち、最も解決が難しいことのひとつです。

「島バナナ」という登録品種があるわけではなく、植物学的な定義もなく、地域ブランド名として定められているわけでもないため、収穫した人が「島バナナだ」と言えば島バナナになるのは当然のことで、ほとんどの場合、悪意もないと思います。
定義が存在しないので誰かが取り締まることはできませんし、取り締まるべきことでもありません。
「島バナナの範囲」はどんどん広がるばかりです。

島バナナに関する主観を数値化してブランド化

しかし、私たちは、本当の島バナナ、「美味しい島バナナ」に絞って広めたい。
そのためには、私たちが何らかの定義を作り、その定義でブランドを作り、そのブランドを広めることだと思い至りました。

私たちが現段階で仮に定義しているのが以下のことです。

島バナナとは・・・
●さわやかな酸味がはっきりとあること
●りんごのような香りがはっきりとあること
●なめらかな食感であること
●皮が薄いこと
●小さいこと


どれも数値化しない限り主観でしかないので、数値化に取り組んでいます。
5つとも、「どのくらい?」の問いに答えられる数値が必要です。

また、小さいこと以外は、春から夏(3月〜8月)に花が咲き、夏〜秋(7月〜11月)に収穫することで実現可能性が高まるため、収穫時期も基準が必要です。
(花が咲いてから3〜4ヶ月で実が成り収穫時期を迎えます)

数値化してその数値基準にあてはまるものをブランド化すれば「美味しい島バナナ」を消費者の方に約束することが可能になると考えています。

しかし、上記のような主観は、小さいこと以外は、皮をむいて食べるまではわからないことです。
「美味しい島バナナ」は、食べる前にそれとわからなければ、消費者に公言して購入していただくことや広めることができません。

島バナナの遺伝子分析で「島バナナ」を特定

食べる前に本当の(本物の)島バナナだとわかるようにするために、まずは学術的な定義ができないものだろうかと考え、熱帯果樹の専門家や、バナナの研究をしている大学教授に意見を仰いだりしてきました。
その中で、バナナの生態や、人が栽培し食べることを文化人類学で研究している千葉大学の小谷教授に出会いました。



小谷教授から、島バナナと呼ばれるものを遺伝子分析してみたらどうかという意見をいただきました。
そして、島バナナ栽培農家さんの島バナナ畑で、島バナナの葉を採取し、それを小谷教授経由で東京農業大学の遺伝子(DNA)分析にかけていただくことになりました。


その結果、実ではない全貌や実の特徴・形状から私たちが「この農家さんの島バナナはきっと本物だ」と思う8軒の農家さんの島バナナの遺伝子は、他のバナナとは分類して分けることが可能な一群のグループに属すことがわかりました。
小谷教授は「これを島バナナと呼んでいいと思う」という見解を示してくださいました。
また、小谷教授はその見解を持って論文を書くことになったため、学術的に裏付けがある本当の(本物の)「島バナナ」を定義することが可能になりました。


「島バナナの遺伝子」をもつ島バナナの苗から育て収穫すれば、その実は、味や香りがどうあっても、島バナナであることは確かです。
私たちは、その「島バナナの遺伝子」をもつ島バナナの苗を、遺伝子分析のため葉を採取させていただいた農家の酒井さんから譲り受けて、「森田さんの島バナナ農園」の最初の定植をしました。


今後、この科学的・学術的に「島バナナ」と呼べるものから、「美味しい島バナナ」を収穫できるように研究していきます。