このページでは、島バナナ協会の創立者、森田正光の、島バナナについてのストーリーをご紹介します。

20代のとき、気象協会の2人の先輩と、初めて石垣島に行きました。
11月のことでした。

絶景が広がる川平湾に行きましたが、11月でも泳げることは、すごい、と思いました。
現地 沖縄の方は泳ぎませんが、私たちはその綺麗な海に感動して泳ぎました。

偶然そこに農家のおばあちゃんがいらっしゃって、「これ食べてみて」と、それまで見たことがなかった小さなバナナをくださったのです。
それがもう、とても美味しくて。
「何これ、普通のバナナじゃないね!」
と、先輩2人と非常に感動したのを覚えています。

それが、島バナナとの出会いです。

当時は、今よりも「島バナナ」は世間に知られていませんでしたが、そもそも「バナナ」自体が贅沢品、という時代でした。
その当時、贅沢品のバナナは、美味しかったような気もしますが、石垣島で食べたそのバナナ(おそらく島バナナ)は「こんな美味しいものがあるのか!」と感動するほどでした。

知っていたバナナの美味しさとは、全く違う美味しさだったのです。

その後は、その沖縄で食べたバナナを調べることはなく、月日が経っていきました。
若い頃は、何かに感動しても、日々の忙しさで、月日が流れてしまうものです。
しかし、記憶にはしっかり残りました。

その後、仕事など何かの機会に沖縄に行くたびに、海岸でおばあちゃんがくださった島バナナを思い出し、その小さなバナナが売られていないか探すようになり、売られていたら即買って、黄色くなるのを待って食べました。
(売られているのは緑の状態です。
追熟して、黄色くなったら、美味しく食べられます。)

その度に、その美味しさに感動しました。

しかし、やはり日々の忙しさもあり、特別に島バナナを探究することはなく、月日が経っていきました。

このように、私は、島バナナが美味しいということは40年以上も前からずっと知っていました。

先日、ある雑誌で対談させていただいた俳優さんも、10年前に食べて感動されたそうで意気投合しましたが、私もその俳優さんと同じです。
沖縄に行く度に、国際通りに行って買うのです。
島バナナを。

島バナナを知っていてファンになった人の大半はそういう状態ではないでしょうか。
それが、変化したのが、ある人との再会でした。

農家を相手にブランディングやマーケティングの仕事をしている、弟子のような存在の人です。
25年くらい前に、「森田塾」といって、お天気キャスターや、それにまつわる仕事をする人を育てる塾を私が主催したときの生徒です。
農業のPR関係の仕事をしているということなので、バナナについて話したところ、
「バナナはとりたてて好きではない、むしろ嫌いかもしれない」と言うので、敢えて、「島バナナを食べてみて」と勧めました。

間接的に島バナナの農家さんともつながっていた彼女は、ネットで購入してみたそうで、「感動しました!」と連絡がありました。
バナナはどちらかと言えば「嫌い」という人まで、感動させてしまうのです、島バナナは。

「森田さんに媚びようとしたのではなく本当に美味しかったです。
これはすごいと思いました。
りんごみたいな香りですね!」
と言っていました。

このとき私は、島バナナの味がわかるには年の功と経験がいるかもしれない、とも思いました。
どんなことであっても、それが本物かどうかを判断するには、経験がいるものだからです。



ある雑誌で対談させていただいた俳優さんとの話に戻ります。
その対談で彼は、「まずいものがわからない人は不幸だ」と仰っていました。
「ではどういうものがまずいんですか」
とお聞きしたところ、
「たとえば、大きな声では言えないけど・・・
ここカットね(笑)・・・
あるでしょ、駅前で数分で食べられる手軽なもの。
そういうことだよ」
ということでした。
なるほどと思いました。

しかし私は、駅前で食べられる手軽なものも美味しいと思うので、まだまだ本当の美味しいものを知らないということかもしれません。
それでも、一般的な大きなバナナと、島バナナの違いは私の中でははっきりしています。

世の中で文化を作る人は、本物がわかる人です。
文化を作る人ではないかもしれませんが、私も、幼少の頃から本当にいろんな本を読んできました。
いろいろな話も聞いて育ちました。
人に対して「本物」という言葉が用いられるときがあります。
どういう人が本物なのでしょうか。
私が思うに、本物か本物ではないかを見極める力がある人が、「本物の人」ではないでしょうか。

知り合いで、また「本物」を感じさせてくれた人が他にもいます。
有名な女優さんを多数輩出している有名なプロデューサーです。
女優さんをみて、その人が将来、活躍できるかそうでないかがわかるそうなのです。
「なぜわかるんですか」とお聞きしてみました。

答えは、
「実は森田さん、自分は小さい頃から本物に囲まれて育ったんです。
実家に国宝級のものがいっぱいあって、身近に育ったことで、本物かそうでないかを見る目が養われたと思います」
ということでした。
「本物が周りにあるから、偽物かどうかがすぐわかる」
ということなのです。

非常に納得しました。

私自身は、育ちはよくないと思います。
そういう点では、先述したバナナ嫌いの元弟子も育ちはよくないと言っていました。
それでもわかるものがあるのです。
それを島バナナが教えてくれました。

島バナナを食べ続けていると、これが島バナナの本物か、そうでないかがすぐわかります。

そういうことから、本物かどうかわかるというのは、あらゆるもの、知識や経験が関係するという結論に至りました。

人はときどき見栄を張ることもありますが、年齢を重ねるとそういうことも少なくなってくるものです。
何が美味しいか、何がまずいか・・・
そういうことに見栄を張らなくなる、つまり正直になるのです。
それも踏まえて、対談させていただいた俳優さんは「まずいことを知ってるのは幸せだよね」と仰ったのだと思います。

もし貧しくて食べるものがなかったら、なんでも美味しく感じるのは人間、いや動物の常です。
「空腹は最高のソース」という言葉があるくらいです。
日本人の多くは今、たしかに貧しくはないのですが、本物との出会いが少ないのではないかと思わざるを得ません。

島バナナに限ったことではなく、どんな果物でも、どんな食べ物にでも言えることで、「知らない」ということによって本当の美味しいものを知らない人が多いのではないかと思いました。

だからこそ、島バナナを日本の多くの人に知ってもらうのはいいことだと思うのです。
島バナナを知ってもらう活動をしていけば、多くの人が美味しいことに感動して幸せを感じられるはずです。

日本の、沖縄でとれるこの島バナナを、日本の人に、知ってもらいたい一心です。


島バナナ協会の記事一覧

カテゴリーリスト